追加経済政策の「事業再構築補助金」とは

追加経済政策の「事業再構築補助金」とは 補助金・助成金

本記事は、2021年(令和3年)に創設された追加経済政策の「事業再構築補助金」についてご紹介します。経済産業省がコロナ禍における中小企業等の経営再建の支援のために創設した制度で、利用するにあたって知っておくべき下記ポイントをご紹介します。(所用時間:約7分)

※事業再構築補助金の第1回の公募情報が公開されました(3月30日現在)

  • 公募開始:3月26日
  • 申請開始:4月15日(予定)
  • 応募締切:4月30日

「事業再構築補助金」の概要

「事業再構築補助金」の受給要件

「事業再構築補助金」の補助額と補助率

「事業再構築補助金」の公募時期

「事業再構築補助金」とは

「事業再構築補助」とは、新分野展開や業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等の事業再構築に意欲のある中小企業等を支援するための事業です。中小企業庁は支援対象の明確化を図るために事業再構築指針を設け、その中で「事業再構築」を下記内容の様に定義しています。いずれもこれまでの事業から大きく変化することが求められるため、他の支給制度よりも補助額は高めに設定されています。

  • 新分野展開・・・新たな製品等で新たな市場へ進出
  • 事業転換・・・主な「事業」の転換
  • 業種転換・・・主な「業種」の転換
  • 業態転換・・・製造方法等の転換
  • 事業再編・・・事業再編を通じて、上記のいずれかに取り組む

「事業再構築補助金」の受給要件は?

「事業再構築補助」を申請するための主要な要件となる下記3つの要件とポイントをご説明します。

  • 申請要件1.コロナ以前と比較しての売上減少
  • 申請要件2.事業再構築への取り組み
  • 申請要件3.認定経営革新等支援機関との事業計画の策定

申請要件1.コロナ以前と比較しての売上減少

申請前の直近6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、コロナ以前(2019年または2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していることが条件となります。

申請要件2.事業再構築への取り組み

制度目的がポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための中小企業等の事業再構築を支援するものであるため、制度を受けるためには事業再構築指針に沿った「新分野展開」、「業態転換」、「事業・業種転換」等を行うことが条件となります。

申請要件3.認定経営革新等支援機関との事業計画の策定

事業再構築に係る事業計画を認定経営革新等支援機関と策定する必要があります。また、 補助事業終了後の3~5年で、「付加価値額」または「従業員一人当たり付加価値額」の年率平均での一定増加が条件となります。

※)認定経営革新等支援機関(認定支援機関)とは?
中小企業や小規模事業者の方たちに安心して経営相談等を受けてもらうための公的な支援機関です。専門知識や実務経験を評価された商工会や商工会議所、金融機関、税理士、公認会計士、弁護士等が主な認定支援機関として認定されています。

「事業再構築補助金」の補助額と補助率は?

中小企業

分類補助額補助率
通常枠100万円~6,000万円2/3
卒業枠6,000万円~1億円2/3
「事業再構築補助」の補助額(中小企業編)

中堅企業

分類補助額補助率
通常枠100万円~8,000万円1/2(※1)
グローバルV字回復枠8,000万円~1億円1/2
「事業再構築補助」の補助額(中堅企業編)

※1)補助額が4,000万円超の場合は、補助率が1/3に変わります。

「卒業枠」や「グローバルV字回復枠」って?

「事業再構築補助」には2つの特別枠が設けられており、一定要件を満たす事で通常枠よりも「補助額」と「補助率」の面で国からの支援幅が大きく変わります。下記に、特別枠の対象である「卒業枠」と「グローバルV字回復枠」の条件を確認します。

特別枠「卒業枠」

事業計画期間内に下記いずれかによって、資本金または従業員を増やして中小企業から中堅企業へ成長する事業者を指します。(400社限定)

  1. 組織再編
  2. 新規設備投資
  3. グローバル展開

特別枠「グローバルV字回復枠」

「グローバルV字回復枠」は、下記要件の全てを満たす中堅企業向けの特別枠です。(100社限定)

  1. 直前6ヶ月間のうち任意の3ヶ月の合計売上高がコロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して、15%以上減少している中堅企業。
  2. 補助事業終了後3~5年で付加価値額又は従業員一人当たり付加価値額の年率5.0%以上増加を達成を見込む事業計画を策定すること。
  3. グローバル展開を果たす事業であること。

要件を満たす事が厳しい反面、享受できる「補助額」と「補助率」の支援が大きく変わるため申請可能か判断に含めてもらう事は十分に有意義であるといえます。

「事業再構築補助金」の公募時期と公募期間は?

3月26日、事業再構築補助金の第1回の公募が開始されました。気になる公募時期・公募期間は下記内容となります。

  • 公募開始:3月26日
  • 申請開始:4月15日(予定)
  • 応募締切:4月30日

また、公募は1回のみではなく令和3年度中に複数回の実施を予定されており、コロナ禍の影響を受けた多くの中小企業等に活用してもらえるよう取り組まれています。そのため、3月の公募に間に合わなかったとしても気を落とさず、情報収集に注意を払って次回以降の公募で「事業再構築補助金」を活用して頂ければと思います。

「事業再構築補助金」の活用事例

下記に経済産業省が公開しているる飲食業や小売業、サービス業、製造業など各事業種における事業再構築(業態転換、新分野展開)の活用事例をご紹介します。

飲食業での活用事例(業態転換)

飲食業での活用事例(業態転換)
出展:【経済産業省】事業再構築補助金(https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html

小売業での活用例(業態転換)

小売業での活用例(業態転換)
出展:【経済産業省】事業再構築補助金(https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html

サービス業での活用例(新分野展開)

サービス業での活用例(新分野展開)
出展:【経済産業省】事業再構築補助金(https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html

製造行での活用例(新分野展開)

製造行での活用例(新分野展開)
出展:【経済産業省】事業再構築補助金(https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html

まとめ

まとめ

いかがでしたでしょうか?

最後に、「事業再構築補助金」制度を受ける場合、事前準備が可能な事項がいくつかあります。申請を検討されている方はこれらの情報についてあらかじめ認識して頂ければと思います。現段階では、事前準備が可能な事項は「①電子申請(jGrants)の準備」、「②事業計画の策定準備」、「③認定経営革新等支援機関との相談」の3つです。どれも時間を要する作業であるため、早めに準備に取り掛かかっておく事で、第一回目の公募への申請や特別枠での申請に対応して頂けると思います。

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