本記事は、経済産業省が令和3年3月29日に公開した統計グラフ化ツール「グラレスタ」について、ツールの概要や活用・操作方法などのポイントを簡単にご紹介します。
統計グラフ化ツール「グラレスタ」とは
「グラレスタ」とは、中小企業・小規模事業者や企業支援に従事する人たち向けた市場動向を把握するための無料のツールです。経済産業省が集計している約1600の生産品目の国内生産量を調べることができます。
ツール利用のメリットは、市場動向調査の手間と時間の削減です。一般的に市場動向を調査しようとすると、1次調査や2次調査といった情報収集に時間を要します。グラレスタでは、品目別に市場全体の動向の検索が可能で、事業の進出や撤退の経営判断、創業・起業時の検討材料などを簡単に取得・活用することができます。
この誰でも簡単に無料で10年分の統計データをグラフ化できるツールの自社・競合・市場ごとの活用例を以下サンプルとしてご紹介します。
- 自社:自社業界の市場は拡大しているか?または、縮小しているか?
- 競合:主要取引先の業界の市場についてはどうか?
- 市場:生産量が伸びている有望な市場(品目)は?
- 市場:進出を考えている市場(品目)は5年前や10年前と比較してどうか?
統計グラフ化ツール「グラレスタ」の機能と使い方
「グラレスタ」の機能を使って可能な統計調査は、①品目別の動向調査、②複数品目の動向調査、③品目間の動向比較の3つです。調べる目的や用途に合わせてこれらの使い分けてください。以下、グラレスタの各機能の使い方と実際に作成してみた統計グラフのサンプルをご紹介します。
機能の使い方:①品目別の動向調査
「品目別の動向調査」機能では、特定品目に対する市場動向の確認を行うことが可能です。使い方は簡単で、下記4つのステップですぐに調べることができます。
- 閲覧したい品目のキーワードを入力する
- 閲覧したい品目を選択する(※キーワードを入力しておくと閲覧品目が絞り込まれます)
- 閲覧したい項目を選択する
- 調査年月を選択する
- 「確認」ボタンを押下する
実際に「グラレスタ」を使って統計グラフのサンプル作成を行ってみました。以下の条件で、自動車業界における部品の生産量(10年間)を統計グラフの作成を試しています。
<条件>
閲覧したい品目のキーワード:自動車
閲覧したい品目:ステアリング装置・タイロッド・タイロッドエンド(自動車部品)
閲覧したい項目:生産数量
調査年月:2011/01/01 ~ 2020/12/01
品目別の動向調査の検索UI
「グラレスタ」の検索UI画面です。UI自体はだいぶシンプルな構成になっています。品目のキーワードには曖昧検索の機能が適用されているため、調べたい品目の名称で検索できる仕組みになっています。操作は条件と期間を指定し(赤枠)、「確認」ボタンを押下するのみです。
品目別の動向調査の検索結果
さきほどの条件と期間で生成された「グラレスタ」の統計グラフです。グラフの数値を確認する場合、マウスカーソルをあてると詳細が表示されます、または検索UIの確認ボタンを押下すると各年度の数値が一覧表で表示されるよう切り替わります。
機能の使い方:②複数品目の動向調査
「複数品目の動向調査」機能では、以下条件にて自動車業界におけるゴム製品の生産量(10年間)の積み上げグラフの作成を試します。※基本操作は品目別の動向調査とほぼ同様です。
<条件>
閲覧したい品目のキーワード:自動車
閲覧したい調査票:ゴム製品月報(自動車用タイヤ)
品目の選択:すべて(トラック、乗用車、二輪自動者など)
閲覧したい項目:生産数量
調査年月:2011/01/01 ~ 2020/12/01
複数品目の動向調査の検索UI
複数品目の動向調査の検索結果
機能の使い方:③品目間の動向比較
「品目間の動向比較」機能では、以下条件にて自転車業界における部品の生産量(10年間)の統計グラフの比較を試します。※基本操作は品目別の動向調査とほぼ同様です。
<条件>
閲覧したい品目のキーワード:自転車
閲覧したい品目:【左】自転車(軽快車)、【右】自転車(電動アシスト車)
閲覧したい項目:生産数量
調査年月:2011/01/01 ~ 2020/12/01
品目間の動向調査の検索結果
品目間の動向調査の検索結果
参考URL
実際にツールを使ってみたいという方は、経済産業省(中小企業庁)の下記ホームページからご確認ください。
統計グラフ化「グラレスタ」(https://mirasapo-plus.go.jp/hint/14583/)
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「グラレスタ」は1つの生産品目に対する単純な統計グラフの作成機能以外にも、「品目同士の比較」や「複数品目の積み上げ」といった動向調査の機能も備わっています。品目同士を比較することで相対的な評価や相関関係などの把握や、複数品目を一括りに集計することで市場全体の動向などを把握することができます。
市場動向を調査しようとすると、1次調査や2次調査といった情報収集に時間を要します。「品目別の動向調査」、「複数品目の動向調査」、「品目間の動向比較」といった調査を簡単に行ないたい際は、統計グラフ化ツール「グラレスタ」を使って、経営判断や起業・創業の検討、経営支援などの場で活用して頂けたらと思います。
コメント